木・土星課月報 (5月)

Monthly Report of the Jupiter-Saturn Section, May 2012

課長 堀川 邦昭 K.Horikawa 幹事 伊賀 祐一 Y.Iga

(1) 土星

4月に衝を過ぎたばかりの土星はおとめ座を逆行中で、観測の好機が続いている。 今月は下記の観測者から報告が寄せられた。

阿久津富夫(フィリピン)35cmSC赤CCD画像31
池村 俊彦(愛知県)38cm反赤CCD画像2
石橋 力(神奈川県)31cm反赤CCD画像3
大田 聡(沖縄県)30cm反赤CCD画像7
風本 明(京都府)31cm反赤CCD画像1
熊森 照明(大阪府)28cmSC赤CCD画像7
中井 健二(広島県)25cmSC赤CCD画像2
三品 利郎(神奈川県)20cm反赤CCD画像1
山崎 明宏(東京都)31cm反赤CCD画像3
柚木 健吉(大阪府)26cm反赤CCD画像10
米山 誠一(神奈川県)25cm反赤CCD画像5
Abel, Paul(英国)20cm反赤スケッチ1枚
Delcroix, Marc(フランス)32cm反赤CCD画像20
Kowollik, Silivia(ドイツ)20cm反赤CCD画像4
Tyler, Dave(英国)35cmSC赤CCD画像21

今シーズンの土星面は、NEBからNTBまでが幅広い一本のベルトとして見えている。 NEBの南半分は本来の色である薄茶色をしているが、大規模な白雲活動の影響を受けたNEB北部からNTBまでは灰色である。 この領域は、強調処理した画像を見ると細かい濃淡がかなり残っているが、通常の画像では一様に近く、白雲活動の影響はしだいに失われつつあるようだ。

NTBとNTZの境界はまだ凸凹が残っており、NTZには白斑も見られる。 今月は数名の観測者によって、III=200°台のNTB北縁に暗斑が観測されている。 この暗斑は体系IIIに対して-3°/dayという、かなりのスピードで前進しており、26日にはIII=235°付近に位置している。

先月の報告で指摘したNTrZの周辺減光の異常は、太陽−土星−地球の位相角が変化に伴い、土星面の前方側のリムで残っているものの、かなり小さくなったようだ。 また、NNTBの赤みは先月よりもやや薄れてしまった。

(6月4日 堀川)


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